王様のいいなり(2)
王様のいいなり(2)
美久は頼まれた資料を求めに廊下を歩きつつ、
はるかの言葉について考えました。
今まで本当に好きな人と付き合ったことのない美久。
いつもいつも、のんびりとした性格がわざわいしてか、
好きな男性を他の女性に取られてしまうのです。
その為に自分に似ている「ポーッとした人」に好かれ、
形だけは付き合っても、長続きはしない。そんなことばかりです。
本当は、強引でぐいぐい引っ張ってくれるような人が好きなのに…。
美久は「誰かに取られてしまう」ということを意識して、
はるかのように攻める恋愛をしようと決めました。
次にあの眩しい男性に出会ったら、自分から声を掛けてみよう。
そう思った瞬間にソファーにつまずき、
寝ている男性の上に転がってしまいます。
誰もいないと思っていたのに。
見詰めてみると、なんと今し方考えていた人物でした。
彼は美久が探しにきた資料探しを手伝い、
あっという間に終わらせてしまいます。
彼は情報管理室の小栗と名乗りました。
礼を言って資料室を出た美久は
「少しだけ話せた時間」に前進したことを感じます。
でも、それじゃいけない!攻めの恋愛をするって決めたばかりなのに。
美久は資料室に戻り、小栗に向かっておずおずと、こう持ち掛けました。
「よかったらお茶しませんか?」
参考:コミックシーモア